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2017年8月 7日 (月)

E217系 ホームドア対応改造始まる

2018年度に新小岩駅へホームドアが設置される、総武快速・横須賀線。

交通新聞の報道(2017/1/31 1面記事)により、車両(E217系鎌倉車)も改造されることが判明していましたが、
ついに車両側でも、ホームドア稼働に向けた対応改造が始まりました。

改造の開始時期は不明ですが、今年7月頃から目撃され始めているようです。

Img_13672<Y-43編成@東京駅>
今回の調査は、写真のY-43編成で行いました。


まずは運転台周りから。

Img_13572 
運転台の上部には、2つの機器が追加されました。

Img_13522 
1つ目が、ホームドアや車両ドアの状態を示すランプを設置した「FD表示器(FD=ホームドア)」です。
「ホームドア分離」「ホームドア連携」などの表示内容で、
ホームドア設置が先行する他路線の表示灯とあまり変わらない内容になっています。

Img_13392 
もう1つは、連携システムの低圧遮断機です。
現時点(8/5)では、使用禁止と書かれた封印シールが貼られています。
封印シールの下にある文字は、「ホームドア 分離・連携」のようです。
 
なお、乗務員室内には連携システムの電源スイッチもあるはずですが、
8/6(日)に調査を行った際は見つけることができませんでした。
恐らく、現時点では「切」状態で、シールで封印されている(=目立つ)はずなのですが…。
 

続いて、車掌スイッチ周りを。

Img_13322 

Img_13302 
車掌スイッチには、山手線のE231系や京浜東北線・横浜駅のE233系と同様に、
「ホームドア分離開扉ボタン」が設置されました。
使用駅が少ない(現時点では新小岩駅のみホームドア導入予定)ためか、開閉式のカバーの下にボタンがあるようです。
 
【2017/12/04追記】
ちなみに、この「ホームドア分離開扉ボタン」ですが、
「R&m」2010年9月号の「研究と開発『山手線E231系500番台ホームドア導入に伴う車両改造概要』」のP13によると、
ホームドア分離開扉スイッチ(以下「分離開扉スイッチ」という。)とは、
ホームドア故障等が発生した場合に、このスイッチを押下した状態で車掌スイッチ「開」を扱うと、
車両と地上の連携に関係なく車両のドアを開扉することを可能とする押スイッチです。
』とのことです。
 

続いて、乗務員室の他の場所を。

Img_133322 
乗務員室の中央部には連携システムの制御部が設置されました。

Img_132522 
助士側には、システムの電源部が設置されました。

Img_13272 
電源部の上には「ホームドア分離出発ボタン」が設置されています。
ドア設置済みの他路線の車両には無いボタンになります。
 
ボタンの位置(車掌スイッチから遠すぎる)からして、日常的に使用するボタンでは無いはずで、
異常時に使用するボタンなのでしょうか…?(資料無し)

R&m 2010年9月号の「研究と開発」記事より、
システム異常時に、地上側から「ホームドア全閉」の信号が送信されない場合でも発車を可能にするボタンとのことです。
 
【2017/08/20修正&追記】
先行他路線の車両でも、運転台脇のフタ付き操作盤(遮断機盤)の中に、
「ホームドア分離出発ボタン」が用意されているそうです。
 
【2017/09/13修正&追記】
日本鉄道車両機械技術協会の協会誌「R&m」2010年9月号の「研究と開発『山手線E231系500番台ホームドア導入に伴う車両改造概要』」によると、
ホームドア分離出発スイッチ(以下「分離出発スイッチ」という。)とは、
ホームドア故障等によりホームドアが全閉しても地上から車両へ「ホームドア全閉」信号が送信されず発車できない場合等において、
このスイッチを押下することにより発車することを可能とする押スイッチです。
』とのことです。
 

Img_13622 
貫通路(もどき)の上部には、「無線連携UHF送受信部」が設置されました。
地上側と車両間で行われるドア開閉などの指示を、無線(UHF・極超短波)によって連携する装置で、
中央には、連携用と思われる下向きのアンテナが。
 

Img_135423 

Img_13613 

Img_13382 
乗務員室の左右両側には、「ホームドアLF受信部」が設置されました。
地上側から車両側へ、LF(長波)によってホームがある側を伝える装置のため、
各乗務員室に2台(左右両側に1台ずつ)設置されているようです。

 
大開口タイプのホームドアが導入される新小岩駅では、
先行他路線のようなTASCの導入は不要で、車両側と地上側の連携のみが必要とされる状態でした。
E217系に設置された機器類を見る限り、
先行他路線のシステムとは異なる無線連携システム(日本信号製)が導入されたようです。

車両の改造ペースは今のところ不明ですが、
2018年度中にはホームドアが稼働するため、かなりのペースで改造が進むことが予想されます。


【参考資料】
JR東日本千葉支社 総武快速線新小岩駅へのホームドア設置工事着手について(2017年1月27日)
http://www.jreast.co.jp/chiba/news/pdf/pre1701_shinkoiwa.pdf
 
astamuse 技術情報>ホームドア制御システム(2017年8月6日閲覧)
https://astamuse.com/ja/published/JP/No/2011213334

日本信号株式会社「可動式ホームドア」(無線連携システムについての記述あり)
http://www.signal.co.jp/products/platform/homegate/index.html

レールアンドテック出版 「鉄道車両と技術」2017年4月号(No.247)「日本信号におけるホーム安全ソリューションの取組み」(P17~P22)
   
交通新聞 2017年1月31日 「ホームドア設置着手 JR千葉支社 新小岩駅、支社管内初」(1面)

日本鉄道車両機械技術協会誌「R&m」2010年9月号 研究と開発「山手線E231系500番台ホームドア導入に伴う車両改造概要」P11~P13

【備考】
当記事は、筆者Twitterの画像をそのまま使用しています。
https://twitter.com/LST_miury/status/894150918106603521
https://twitter.com/LST_miury/status/894151103410872321
https://twitter.com/LST_miury/status/894151354603626497
https://twitter.com/LST_miury/status/894151542474850307

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コメント

横須賀線や東海道線のホームドアはグリーン車があるから難しいと思う。
どうせ、普通列車グリーン車を入れるなら指定席に変えて、立ち席なら無料にするとか何故、考えないだろうか?
E217のセミクロスシートの形状は良くないのでセミクロス車両を全席転換クロスに出来ないだろうか?
グリーン車なら回転式クロスで良いから普通列車に転換クロスがあると助かる気がします。
現に私鉄ではL/Cを含めた転換クロスが相次いで導入されているからJRでもできると思うし、グリーン車がホームドア設置の弊害になるなら転換クロスを素直に増やした方が便利だと思います。

投稿: 稲見弥彦 | 2017年8月14日 (月) 11時06分

成田空港←11号車 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車+増4号車 増3号車 増2号車 増1号車→久里浜
このうち、5号車4号車がグリーン車なのですが6号車5号車に移したほうがいいと思う。
そうすれば、4号車から増1号車で普通8両編成が千葉から成田間でもグリーン車に干渉なくホームドア設置出来ると思う。
普通10両編成の運用が出来なくなりますが代わりに君津、上総一ノ宮方面のE217運用を成田方面に割り当てて毎時2本の快速運転があると助かる気がします。
どうせ、君津、上総一ノ宮方面は京葉線からの運用があるからグリーン車付きではホームドア設置が難しいと思う。
Y-01からY-03のセミクロスシートは量産先行車で他と仕様が違うので試験的でも転換クロスに出来ないだろうか?

投稿: 稲見弥彦 | 2017年11月21日 (火) 03時22分

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