羽田空港アクセス線 田町駅付近の様子(2020/12/19)
2019年2月に、JR東日本より環境影響評価の手続きに着手することが発表され、
同年5月に、東京都へ環境影響評価調査計画書が提出されている「羽田空港アクセス線」について、
全てをカバーできるわけではないですが、調査できる範囲でお届けしていきます。
現在、調査計画書が提出されているのは、
上野・東京方面から休止中の東海道貨物線(大汐線)を経由して羽田空港へと向かう、いわゆる「東山手ルート」です。
かつての汐留貨物駅と東京貨物ターミナル駅を結んでいた大汐線は、東海道線(旅客線)とは繋がっておらず、
2つの路線がどのように接続されるかが注目されていましたが、
東京都環境局のウェブサイトで公開されている計画書(以下URL参照)によると、
田町駅の北側で東海道線から分岐して、トンネルで東海道新幹線をくぐり、大汐線へと接続することが明らかになっています。
東京都環境局 「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価調査計画書
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/assessment/information/toshokohyo/publishdetail/359_hanedaaccess_tosho_kei.html
田町駅付近での工事の内容については、
上記のページのNo.3「事業の目的・内容等②」に工事の内容が掲載されています。
まず、田町駅の北側に存在する山手線の引き上げ線を廃止し、
「山手線外回り線」「京浜東北線南行」「東海道上り線」を順次移設して1線分のスペースを確保した上で、
単線のアクセス線を建設し、地下トンネルで東海道線と大汐線を結びます。
当ブログの読者様より、関連する工事が田町駅で始まっているとの目撃情報をいただき、
12月19日に現地を訪問しました。
以下、田町駅周辺の様子について載せていきます。
<田町駅の北側>
先述したとおり、羽田空港アクセス線の東海道線接続部の工事は、
田町駅の北側に存在する山手線の引き上げ線を撤去することから始まります。
この引き上げ線は日中は使用されませんが、
深夜に品川止まりとなっている内回り電車と、早朝に田町始発となっている外回り電車が使用しており、
撤去前に代替設備を整備する必要があります。
<田町駅の南側>
引き上げ線の代替として、田町駅の南側に渡り線が新設されるようで、
12月中旬に、山手線内回りの線路に分岐器が挿入されました。
さらにズームした写真がこちら。
保守用の横取装置ではなく、通常の分岐器です。
<札の辻橋より>
新設される渡り線を、田町駅の南側から。
現在、引き上げ線を使う電車は「田町駅2番線→引き上げ線→田町駅3番線」と走行しますが、
渡り線の使用が始まると、内回り線から田町駅3番線へ直接入線するようになります。
内回り線に続き、外回り線でも分岐器の挿入が行われるため、
田町駅の山手線外回りホームには、45km/h制限の臨時信号機が設置されていました。
デジタルATCで速度制限パターンを発生させるための地上子も用意されていました。
ちなみに、駅の先に用意されている速度制限についての標識ですが、
先週確認した時とデザインが変わっていました。
視認性アップのためでしょうか…?
<大汐線の様子 1/2>
田町駅の脇で地下へもぐった羽田空港アクセス線のトンネルは、
札の辻橋の南側で地上へ出て、大汐線へと接続する計画となっています。
<大汐線の様子 2/2>
羽田空港アクセス線については、環境アセスメントなどの手続きには2年半程度かかるそうで、
渡り線の整備以外の工事が始まるのはまだ先になりますが、
トンネル工事が始まれば、田町駅や札の辻橋から観察できそうです。
当面は、渡り線新設の進捗について、
動きがあるごとに不定期でお伝えしようと思います。
【参考資料】
JR東日本『羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きの実施について』2019年2月15日
https://www.jreast.co.jp/press/2018/20190220.pdf
マイナビニュース『羽田空港アクセス線(仮称)実現で「大汐線」に乗れる日が来る!? 』2019年2月15日
https://news.mynavi.jp/article/railwaynews-161/
JR東日本『羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続き着手について』2019年5月20日
https://www.jreast.co.jp/press/2019/20190512.pdf
乗りものニュース『「羽田空港アクセス線」、工事区間のいまとダイヤを予想する』2019年7月21日
https://trafficnews.jp/post/87971
東京都環境局『「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価調査計画書』2020年6月5日最終更新
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/assessment/information/toshokohyo/publishdetail/359_hanedaaccess_tosho_kei.html
東鉄工業『2020年3月期 第4四半期(2020年1月~3月)の主な受注工事』2020年4月23日
https://ssl4.eir-parts.net/doc/1835/ir_material/138735/00.pdf
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コメント
写真を見て気になったので観察。
田町駅南から田町駅〜浜松町駅の田町寄り(山手折り返し線の北辺りまで)は架線柱が未更新ですね。
新幹線との並走区間は一部架線柱を共有しているので、東日本と東海が合わせて工事する必要があるのでしょう。
浜松町駅寄りはコンクリート柱や鋼管柱に更新されています。
投稿: von Kimura | 2021年1月 2日 (土) 14時14分