八ッ場ダム観光(2022/05/24)
10時過ぎに川原湯温泉駅に到着する普通列車で駅に到着。
(高崎を9時前に出ることになるので、この日は新前橋に前泊して現地へ向かいました)
川原湯温泉駅、駅のホームや階段からダム湖が見えるんですね…!
冒頭で書いたとおり、ダム湖に水が溜まるようになってから初めての現地訪問だったので、
「八ッ場あがつま湖」の湖面を見たのはこれが初めてでした。
まずは、川原湯温泉駅からすぐの場所にある「川原湯温泉あそびの基地NOA」へ移動。
ここは、キャンプやバーベキュー、カヌーやカヤック体験ができる施設ですが、
レンタサイクルの貸し出しもやっていて、この日はここを起点にダム湖を巡ります。
(もちろんダムは車で巡ったほうが楽だと思うのですが、ペーパードライバーなので…)
それでは、八ッ場ダムを目指して出発します!
湖沿いの道路を選んで走り出すと、いきなり湖面にダイブしそうな光景が…(笑
この日の湖面はほぼ満水に近く、
広い湖面を見ながら自転車を走らせることができました。
自転車を10分ほど走らせると、八ッ場ダムの右岸展望台に到着しました。
(右岸と左岸:川の下流を向いて、川の右側が右岸、川の左側が左岸となります)
ダムの左岸には資料館や売店があり、あちらは人が多いですが、
右岸展望台はご覧の通りでした。
視界を遮る木々もほとんどなく、ダム湖を見渡せるいい展望台でした。
10分ほどダム湖を見ていましたが、
大きな蜂が周りを飛び回るようになったので、追い立てられるように右岸展望台を後にしました。
さらに自転車を走らせて、八ッ場ダムの右岸の出入口ゲートに到着。
こちら側のゲートは、日によっては閉鎖されていることもあるそうなので、
ここを利用する場合は、事前に要チェックですね。
そしてダムに到着!
駐輪スペースがダム左岸の駐車場脇にあったため、先に自転車を預けてから撮影開始。
なので、いきなりダム左岸からの写真になります。
ちなみに、駐車場の近くでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、
本来の予定よりも2年遅れて開催されることになった竣工式に向けた準備が行われていました。
(2022年5月28日に、「八ッ場ダム完成 感謝のつどい」として開催済み)
ダム左岸には、ダム管理棟の建物があり、
ダム資料館「なるほど!やんば資料館」もこの建物に同居しています。
「なるほど!やんば資料館」の館内には…
建物の2階、ダム湖があるほうはバルコニーになっていて、
ダム湖を見下ろすことができるようになっていました。
ダム左岸には、管理棟のほかにも「やんば茶屋」と呼ばれる施設があり、
お土産スペースと食事スペースがありました。
資料館を見学した後は、ダム本体を見学していきます。
ダムの本体("堤体" と呼びます)を上流側から見ると、堤体はほとんど水で見えない状態で、
細かい数字を知らなくても、ほぼ満水に近い状態だと実感できる状態でした。
細かい数字を紹介すると、この時のダムの水位は581.3m。
八ッ場ダムの常時満水位が583.0mなので、満水の状態と1.7mの差しか無かったことになります。
(詳しくは後述しますが)八ッ場ダムが満水やそれに近い水位となるのは、1年のなかでもそう長い期間ではないので、
この光景を見るために、この時期を狙ってダムを訪れる人も多いのでは。
ちなみに、このダム湖は「八ッ場あがつま湖」という名前だそうです。
いよいよダム堤体の一番上、天端(てんば)へ…!
天端の親柱には、上流側には漢字で、下流側には平仮名で八ッ場ダムと書かれていました。
まだまだピカピカですね。
八ッ場ダムの天端! 広い…!
ダムの天端を訪れたのは、黒部ダム(旅行記)に続いて2件目でした。
天端から見下ろした、ダム下流側。
下流側の地上までは100m以上あるので、かなりの高さを感じました。
下流側の景色はこんな感じでした。
このあたりは、「吾妻峡」と呼ばれる景勝地なのですが、
ダム建設に伴い、約4分の1は消失したそうです。
堤体の一番上には、想定を超えるほどの大雨の際に使用される「非常用洪水吐」があり、
天端からも観察することができます。
大きすぎて、写真には全く収まっていないですけれど…
この日の八ッ場ダムは、ダム堤体の中央にあるゲートから放流していました。
まさか、ゲートからの放流を見ることができるとは…!
八ッ場ダムでは、管理用のエレベーターが一般向けにも開放されており、
ダムを堤体直下からも見学することができます。
エレベーターは1基のみなので、見学者が多い時には少し待つことになりますが、
ここまで来て堤体直下の見学をしない理由は無いので、少し待ってからエレベーターに乗りました。
このエレベーターを降りると、ダムの堤体直下、左岸側に出ます。
これが…堤体直下!
写真にするとあまり迫力が伝わらないのですが、現地ではもの凄い迫力でした。
八ッ場ダムは堤体直下に立ち入ることができるので、
間近で観察することができます。
八ッ場ダムの堤体直下には「八ッ場もみじ橋」という真っ赤な橋が架けられており、
見学者は、ダムの左岸側と右岸側を自由に通行することが出来ます。
八ッ場もみじ橋から見た下流側。
放流中の水によって虹がかかっていました。
右岸側から見た八ッ場ダム。
コンデジの広角側では収まり切らないですね…。
最近のスマホに搭載されているような、広角専用レンズを使った方がいい感じになりそうです。
ダムの一番上に用意されている、
計画を超えた洪水に対応するための非常用洪水吐。
八ッ場ダムでは4門用意されています。
非常用洪水吐のクレストゲートをアップで。
下からでも分かる、その巨大さ……!
少し下流側に移動して、放流の様子を。
見学した5月24日、堤体の中程にあるゲート(コンジットゲート)から放流していた八ッ場ダムですが、
これは、夏場の洪水に備えて水位をあらかじめ下げておくための放流となります。
非洪水期の八ッ場ダムの水位(常時満水位)は583.0mですが、
洪水期(7月1日から10月15日)には、それよりも30mほど低い555.2m(洪水期制限水位)まで貯水位を下げることになっているため、
毎年5月下旬ごろから水位を下げるために放流を行います。
10月15日に洪水期が終わり、満水位は583.0mに戻りますが、すぐに貯水量が戻るわけではないので、
再び満水となるのは、翌年の春先、雪解け水を貯め込む頃になります。
ダム直下にあって、放流の勢いを抑えるための「副ダム」も、越流寸前になっていました。
ゲートからの放流は目立ちますが、
それ以外の場所からも放流は行われています。
副ダムの少し先に、比較的小さな放流口があり、
そこからも放流されている様子が伺えました。
その水はどこから来ているのかというと、
八ッ場ダムの堤体直下、左岸側にある「八ッ場発電所」で発電に使用されれた後の水になります。
この日の八ッ場発電所の発電量は11,700kwで、
八ッ場発電所で発電できる最大発電量となっていました。
この時の放流量を、利根川ダム統合管理事務所のウェブサイトで確認すると、
発電放流量が12.92m3/s、コンジットゲートからの放流量が10.9m3/sとなっていました。
発電所で使い切れない分が、コンジットゲートから放流されていたということになります。
余談ですが、この「八ッ場発電所」、
金曜日から月曜日および祝日は、発電所の見学ができるそうです。
(私が見学したのは火曜日だったので見れませんでした…。リベンジ必須ですね…!)
ちなみに、八ッ場ダムには、堤体最上部の非常用洪水吐、堤体中程の常用洪水吐のほかにも、
放流に使用される放流設備が存在します。
右側がホロージェットバルブ(口径0.8m)で、最大10m3/sの放流が可能、
左側がジェットフローゲート(口径1.8m)で、最大50m3/sの放流が可能だそうです。
いずれも、常用洪水吐を使用するほどでもない雨や、八ッ場発電所が停止している場合に使用されます。
この日のコンジットゲートからの放流量が10.9m3/sだったので、
ジェットフローゲートで対応できるはずの放流量に思えますが、
ありがたいことに、コンジットゲートから放流されていたということになりますね。
引き続き、堤体の下流側をうろうろ。
ダム建設で切り替えられた吾妻線の旧線では、「自転車型トロッコ アガッタン」が運行されており、
八ッ場ダムの堤体下流側には、「吾妻峡八ッ場駅」が存在します。
いつでも乗車できるわけではなく、
決まったダイヤがあり、それに合わせて乗車するスタイルとなっています。
乗車は2名以上からとなるため、ちょっとだけハードルが高いですね。
架線も残されており、かなりいい雰囲気を味わうことが出来そうでした。
さらに下流側へ進み、吾妻峡の遊歩道へ。
来たことを少しばかり後悔するような急な階段を降り、八ッ場ダムが望める撮影スポットへ。
ここからの眺めもなかなかいいものでした。
この撮影スポットですが、ダム以外にも興味深いものを見ることができます。
ダム工事中に川の水を迂回させていた「仮排水トンネル」が真正面に見えるんですよね。
ダムの見学を終えた後は、八ッ場茶屋で昼食にしてから次の目的地へ。
ダムから3.5kmほどの場所にある道の駅「八ッ場ふるさと館」を通り過ぎ、
八ッ場ダムから5kmほど離れた場所にある「八ッ場湖の駅丸岩」に到着。
この場所に来た理由はこちら。
八ッ場ダムで運航されている水陸両用バス「八ッ場にゃがてん号」は、
ここ「湖の駅丸岩」と、先ほど通り過ぎた「道の駅 八ッ場ふるさと館」の両方から乗車することができますが、
事前予約は「湖の駅丸岩」から乗車する場合のみで、「八ッ場ふるさと館」の乗車は当日券のみとなっています。
予約状況を確認すると、便によっては事前予約でいっぱいになることもある(→八ッ場ふるさと館から乗車不可)ので、
事前予約したうえで、「湖の駅丸岩」から乗車した…というわけです。
(結果としては、この便は八ッ場ふるさと館からの乗車も可能でしたが)
水陸両用バスということで、他では見ることのできない独特なスタイルとなっています。
バスの後部には、水上航行用のスクリューと舵も装備されていました。
バスは、「湖の駅丸岩」を出発し、
「八ッ場ふるさと館」に寄って当日券の乗客を乗せてからダム湖面へと向かっていきます。
水陸両用バスは、バスでありながら、水に浮くために「船」のようになっているため、
かなり車高が高く、地上走行時の目線が高い点も、乗っていて楽しいポイントですね。
(バス車内から撮った写真ですが、欄干がかなり下の方にあることが分かるかと)
この日のダム湖への進水ポイントは、「湖の駅丸岩」脇のスロープだったので、
いったん乗車地点まで戻ってから、湖面にスプラッシュ!!
バスの車窓とは思えない景色を味わいながら、バスは湖面を進んでいきます。
道路を走行中は「バス」扱いのため、シートベルト着用が必須ですが、
水上航行中は「船舶」の扱いになるため、車内を移動することができるようになり、運転席の写真を撮ることもできます。
水上では、方向の制御はハンドルではなく、ハンドルの右側にある小さな舵輪で行うとのことです。
不動大橋の橋脚には、ダム堤体の高さと最高水位を示したプレートが。
この日の水位では、ダムに近い「八ッ場大橋」までは行けないそうなので、
「不動大橋」を回って、湖の駅丸岩へと引き返します。
バスは八ッ場ふるさと館で下車することもできますが、
自転車を湖の駅丸岩に置いているため、八ッ場ふるさと館で下車することはできず…。
湖の駅丸岩で、「八ッ場にゃがてん号」4便から下車すると15時20分ごろ。
自転車の貸し出し時間は16時半までなので、あとは「川原湯温泉あそびの基地NOA」まで戻るだけになります。
途中にある施設も見学しつつ、この日最後のサイクリングをこなしていきます。
八ッ場ダム建設時の発掘調査で出土した、
浅間山の大噴火によって発生した「天明泥流」の資料を展示する「やんば天明泥流ミュージアム」を見学したり、
「やんば天明泥流ミュージアム」の隣で保存されている、
長野原町立第一小学校の旧校舎を見学したり。
八ッ場ダム建設時に使用された、重ダンプのタイヤが展示されていました。
少し前に湖面から見た「不動大橋」を通過すると、川原湯温泉まではあと少し。
不動大橋からの光景。
1日見続けた八ッ場ダムの湖面とも、そろそろお別れです。
ズームすると、「八ッ場にゃがてん号」の最終便が、
ちょうど湖の駅丸岩から上陸するところでした。
16時20分、川原湯温泉あそびの基地NOAに戻ってきました。
自転車を借りたのは10時半ごろだったので、丸1日八ッ場ダムを楽しんだことになりますね!
この後は、川原湯温泉あそびの基地NOAの日帰り温泉を堪能してから、
18時頃に川原湯温泉駅を出る普通列車で現地を後にしました。
余談ですが、川原湯温泉あそびの基地NOAの温泉施設は、
(おそらく)キャンプ宿泊者向けの施設が一般開放されているものなので、
タオル貸し出しサービスは無いため、利用する場合はタオルを持参する必要があります。
八ッ場ダムとその周辺の見学レポートは以上となります。
ダムに水が溜まってから八ッ場ダムを訪れたのは初めてだったため、
すっかり変わった現地の景色に驚きっぱなしでした。
首都圏からかなりアクセスしやすいダムということで、観光客向けの施設やサービスが充実しており、
家族連れからダム好きまで、幅広い層が楽しめるダムになっているように感じました。
また現地を訪れてみたいですね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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